お客様から、 「インターネットにつながらない」 「Wi-Fiが遅い」 「動画だけ止まる」 と相談を受けることがあります。
このとき営業担当者が、 技術者のように原因を特定したり、 機器設定を変更したりする必要はありません。
大切なのは、 症状を整理し、安全な範囲で必要な情報を確認し、 原因を推測せず適切な窓口・専門担当へ引き継ぐこと です。
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この研修の3行まとめ
- 「つながらない」「遅い」を分け、どの端末・接続方法・サービスで起きているか整理する。
- 回線・ONU/モデム・ルーター・Wi-Fi/LAN・端末・利用サービスのどこでも問題は起こり得る。
- 営業担当者は原因を断定せず、確認した情報をそろえて正式な窓口へ引き継ぐ。
このページで学ぶこと
- 「つながらない」「遅い」の基本的な分け方
- 端末・Wi-Fi・有線LANごとの確認ポイント
- ONU・モデム・ルーター等の確認ポイント
- 障害・メンテナンス情報の確認
- 営業担当者が確認してよい範囲
- 専門担当へ引き継ぐために記録する情報
営業担当者の役割は「直すこと」ではない
技術的にはこういう意味
インターネット通信では、 回線、 ONU・モデム、 ルーター、 Wi-Fi・有線LAN、 端末、 利用サービスなど、 複数の要素が関係しています。
「つながらない」 「遅い」 という症状だけでは、 原因を一つに特定できません。
お客様にはこう説明する
「原因はいくつか考えられますので、 まず現在どのような状態なのか確認させてください」
「確認した内容を整理して、 必要であれば専門担当へおつなぎします」
POINT
原因を当てることではなく、 症状の範囲を正確に整理することが重要です。
最初に「つながらない」と「遅い」を分ける
「インターネットがおかしい」 という言葉だけでは、 実際の症状は分かりません。
通信できない状態
Webサイトが開かない、 アプリが通信できないなど、 インターネット接続自体を 利用できない状態です。
通信はできるが利用しづらい状態
Web表示に時間がかかる、 動画が止まるなど、 通信はできているものの 快適に利用できない状態です。
POINT
「ネットがおかしい」 をそのまま記録せず、 どのように困っているのか具体化します。
「何が使えないのか」を確認する
最初に、 症状が出ている範囲を確認します。
- インターネット全体が使えない
- Wi-Fiだけ使えない
- 有線LANだけ使えない
- スマートフォン1台だけ使えない
- PCだけ使えない
- 特定のWebサイトだけ開かない
- 特定の動画サービスだけ使えない
- 特定のアプリだけ使えない
- 家の一部の部屋だけWi-Fiが弱い
POINT
「全部」なのか 「一部」なのかを最初に分けます。
「遅い・つながらない」時の初期確認フロー
営業担当者は、 次の順番で整理すると分かりやすくなります。
POINT
これは故障診断ではなく、 症状を整理するためのフローです。
1台だけか、複数台とも同じかを確認する
ご家庭に複数の端末がある場合は、 他の端末でも同じ症状が出ているか確認します。
- スマートフォン1台だけ使えない
- 家族全員のスマートフォンが使えない
- PCだけ使えない
- スマートフォンは使えるがテレビだけ使えない
- Wi-Fi接続している端末がすべて使えない
注意
1台だけ使えないからといって、 「その端末が故障している」 と断定しません。
あくまで症状の範囲を 整理する情報として扱います。
Wi-Fiだけか、有線LANでも同じかを確認する
NET-04で学んだとおり、 Wi-Fiと有線LANでは 家庭内での接続方法が異なります。
無線区間も確認対象
距離、 壁、 階数、 設置場所、 Wi-Fiルーター、 端末などが関係する可能性があります。
Wi-Fiだけの問題とは限らない
回線、 ONU・モデム、 ルーター、 有線LAN、 端末等も含めて 情報を整理する必要があります。
POINT
「Wi-Fiだけなのか」 「有線でも同じなのか」は、 引き継ぎ時に重要な情報です。
家全体か、特定の部屋だけかを確認する
「Wi-Fiが遅い」 と言われた場合は、 どこで利用したときに 症状が出るのか確認します。
- ルーターの近くでも遅い
- 2階だけ遅い
- 寝室だけつながりにくい
- 家の端の部屋だけ弱い
- どの部屋でも同じ症状が出る
Wi-Fiでは、 距離・壁・床・階数・家具・設置場所等が 電波状況へ影響する場合があります。
注意
Wi-Fiの電波が弱い = インターネット回線の障害、 ではありません。
「いつから」「どのように」起きているかを確認する
症状が始まった時期も 引き継ぎ時の重要な情報になります。
- 今日突然つながらなくなった
- 数日前から徐々に遅くなった
- 夜だけ遅い
- ルーターを交換してから症状が出た
- 回線変更後から使えない
- 特定のアプリ更新後から使えない
POINT
「いつから」 「何をした後から」 も確認します。
インターネットは、途中のどこでも問題が起こり得る
NET-01〜05で学んだ内容を、 一度つなげて考えてみましょう。
POINT
一つの症状だけで、 途中のどこに原因があるかを 決めつけないようにします。
Wi-Fiマークがあっても、インターネットにつながるとは限らない
スマートフォン等に Wi-Fiマークが表示されている場合でも、 その先のインターネット通信が 正常とは限りません。
POINT
Wi-Fiマーク = インターネット正常、 ではありません。
特定の端末だけ使えない場合
家族のスマートフォンやPCは使えるのに、 1台だけ使えない場合があります。
この場合、 端末側の接続状態・設定等が 関係している可能性もあります。
注意
「1台だけだから端末故障」 と断定するのではありません。
他端末の状況とあわせて記録し、 必要に応じて端末メーカー等の 正式なサポートへつなぎます。
特定のWebサイト・アプリだけ使えない場合
Webサイトは開ける、 他の動画サービスも見られるのに、 特定のアプリだけ使えない場合があります。
この場合は、 利用サービス側の障害・メンテナンス・ アプリの状態等が 関係している可能性もあります。
POINT
「インターネットが使えない」 ではなく、 「特定サービスだけ使えない」 と整理します。
ONU・モデム・ルーター等の状態を確認する
安全に確認できる範囲で、 通信機器の状態を確認します。
- 電源が入っているか
- 電源ランプが点灯しているか
- 通常と異なるランプ表示がないか
- エラーを示す表示が出ていないか
- LANケーブル等が明らかに外れていないか
注意
ランプの意味は機種によって異なります。
「赤ランプだから故障」 「このランプが消えているから回線障害」 と記憶だけで判断せず、 自社資料・取扱説明書・提供元の 最新公式情報を確認します。
配線は「安全に見える範囲」で確認する
LANケーブルや電源ケーブル等が 明らかに外れていないかを 目視で確認することがあります。
独自判断でしないこと
- 配線をすべて外してつなぎ直す
- LANポートを適当に変更する
- 通信機器のモードを変更する
- 機器を分解する
POINT
見える範囲で状態を確認することと、 接続構成を変更することは別です。
再起動・電源操作・初期化は正式な手順に従う
通信機器のトラブルでは、 再起動が正式な対処手順として 案内される場合があります。
ただし、 機器構成や事業者によって 操作方法・順番等が異なる場合があります。
営業担当者が独自に案内しない
- 「全部のコンセントを抜いてください」
- 「適当に順番に電源を入れ直してください」
- 「RESETボタンを押してください」
- 「分からなければ初期化しましょう」
特に初期化に注意
RESET・初期化操作では、 保存されている設定が消去される場合があります。
再起動・初期化・設定変更は、 自社・通信事業者・メーカー等の 正式な手順に従います。
通信事業者側の障害・メンテナンス情報も確認する
お客様宅の機器だけでなく、 通信事業者側のネットワーク等で 障害やメンテナンスが発生している場合もあります。
自社・取扱事業者に 公式の障害・メンテナンス情報を 確認する方法がある場合は、 正式な方法で確認します。
POINT
宅内機器だけを見て 原因を決めないようにします。
速度測定をする場合は「条件」も記録する
NET-05で学んだように、 速度測定の結果は 測定条件によって変わります。
速度測定を確認する場合は、 数字だけでなく次のような条件も記録します。
- 測定した日時
- 使用した端末
- Wi-Fiか有線LANか
- Wi-Fiの場合は測定場所
- ルーターからのおおよその距離
- 他端末の同時利用状況
- 使用した速度測定サービス
- 複数回測定した場合はその結果
注意
1回の速度測定結果だけで、 回線障害と断定しません。
「最大1Gbpsなのに100Mbpsだから故障」とは判断しない
NET-05で学んだとおり、 最大通信速度と 実際の通信速度は同じではありません。
実際の速度には、 回線、 混雑、 ルーター、 Wi-Fi、 有線LAN、 端末、 測定条件等が関係します。
こんな判断はしない
- 「1Gbps契約で100Mbpsしか出ないので故障です」
- 「昨日より遅いので回線障害です」
- 「Wi-Fi測定が遅いので回線が悪いです」
原因を推測で断定しない
症状を詳しく聞いていくと、 「おそらくこれが原因だろう」 と思う場合があります。
しかし、 確認できていない原因を 事実のように案内しないようにします。
こんな説明はしない
- 「ルーターが壊れています」
- 「回線障害ですね」
- 「Wi-Fiのせいです」
- 「ONUが故障しています」
- 「端末の故障です」
- 「このアプリ側が原因です」
- 「ルーターを交換すれば直ります」
POINT
推測は推測のまま。 確認できた事実だけを引き継ぎます。
営業担当者が確認する範囲と、専門担当へ引き継ぐ範囲
| 営業担当者が確認する | 専門担当へ引き継ぐ |
|---|---|
| 「遅い」「つながらない」のどちらか | 技術的な原因の特定 |
| どの端末で起きているか | ONU・モデム・ルーター等の詳細診断 |
| Wi-Fiか有線LANか | 詳細なネットワーク設定変更 |
| 他の端末でも同じか | IP・DNS・ルーティング等の詳細設定 |
| 特定サービスだけか | 機器の初期化・設定再構築 |
| 電源・ランプ表示 | 機器交換の判断 |
| 安全に見える範囲の配線状態 | 専門的な配線変更 |
| 障害・メンテナンス情報 | 原因不明・改善しない症状の対応 |
POINT
「どこまで自分でやらないか」 を理解することも営業担当者の重要な知識です。
引き継ぐときは、確認した情報を整理する
専門担当へ引き継ぐときは、 確認済みの内容を整理して伝えます。
たとえば、 次のような情報です。
- いつから症状が出ているか
- 「遅い」のか「つながらない」のか
- どの端末で起きているか
- 1台だけか複数台か
- Wi-Fiか有線LANか
- 家全体か特定の部屋だけか
- 全サービスか特定サービスだけか
- ONU・モデム・ルーター等の機器名・型番
- ランプ表示・エラー表示
- 安全な範囲で確認した配線状態
- 障害・メンテナンス情報の確認結果
- 速度測定した場合は数値と測定条件
- 直前に機器交換・契約変更等があったか
個人情報にも注意
必要な情報だけを、 会社が定めた正式な方法で記録・共有します。
不要な個人情報を 私物端末や個人アカウントへ 保存しないようにします。
営業ヒアリングは「症状の範囲」から聞く
会話例|「Wi-Fiがつながらない」と相談された場合
急にWi-Fiがつながらなくなったんです。
ご不便をおかけしています。 まず状況を確認させてください。
ご家族のスマートフォンなど、 他の端末も同じ状態でしょうか?
家族のスマホも全部ダメみたいです。
ありがとうございます。 ルーターやONUなどの電源と ランプ表示も確認させてください。
原因はこちらで決めつけず、 確認した内容を整理して 必要であれば専門担当へ引き継ぎます。
会話例|「夜だけ遅い」と相談された場合
昼は普通なんですが、 夜になると動画が遅いんです。
夜だけなのですね。 ありがとうございます。
動画を見る端末は何でしょうか? Wi-Fiと有線LANのどちらで 接続されていますか?
2階のテレビをWi-Fiでつないでいます。
承知しました。 夜の時間帯だけなのか、 2階のWi-Fi環境も関係しているのかなど、 いくつか確認する必要があります。
まず現在の利用環境を整理してみましょう。
POINT
「夜だから回線混雑」 「2階だからWi-Fi」 と一つに決めません。
よくある勘違い
こんな考え方はしない
- 「ネットが遅い=回線障害」
- 「Wi-Fiが弱い=回線障害」
- 「Wi-Fiマークがあればインターネットも正常」
- 「1台だけ使えない=端末故障」
- 「全部使えない=ルーター故障」
- 「動画だけ止まる=回線が遅い」
- 「ランプが赤い=機器故障」
- 「1Gbps契約で100Mbpsしか出ない=故障」
- 「1回の速度測定で原因が分かる」
- 「とりあえず全部再起動すればよい」
- 「分からなければRESETすればよい」
- 「ルーターを交換すれば必ず改善する」
営業担当者は、どこまで覚えればよい?
NET-06では、 次の8点を理解できれば十分です。
- 「遅い」と「つながらない」を分ける
- 1台だけか、複数台かを確認する
- Wi-Fiか有線LANかを確認する
- 全体か一部サービスだけかを確認する
- 電源・ランプ・配線を安全な範囲で確認する
- 障害・メンテナンス情報も確認する
- 再起動・初期化等は正式な手順に従う
- 原因を断定せず、必要な情報を整理して引き継ぐ
まとめ
- 最初に「遅い」「つながらない」を分ける
- 全端末か一部端末だけかを確認する
- Wi-Fiか有線LANかを確認する
- 家全体か特定の場所だけかを確認する
- 全サービスか特定サービスだけかを確認する
- いつから症状が出ているかを確認する
- ONU・モデム・ルーター等の電源・表示を確認する
- ランプの意味は公式資料等で確認する
- 配線は安全に見える範囲で確認する
- Wi-Fiが弱い=回線障害ではない
- 特定端末だけの場合は端末側の可能性もある
- 特定サービスだけの場合はサービス側の可能性もある
- 事業者側の障害・メンテナンス情報も確認する
- 速度測定では数値だけでなく測定条件も確認する
- 最大速度と実測速度を混同しない
- 再起動・初期化・設定変更は正式な手順に従う
- 原因を推測で断定しない
- 確認した情報を整理して専門担当へ引き継ぐ
理解度チェック
内容を理解できたか確認してみましょう。 回答はクリックすると表示されます。
Q1 1Gbps契約のお客様が速度測定したところ 100Mbpsだったため、 回線故障と判断してよい。 ○か×か?
回答を見る
最大通信速度は、 実際の通信速度を保証する数字ではありません。
回線、 混雑、 ルーター、 Wi-Fi、 LAN、 端末、 測定条件等が関係するため、 1回の測定結果だけで故障とは判断しません。
Q2 お客様宅で家族全員の端末が使えなくなりました。 営業担当者は 「ルーター故障です」と案内してよい。 ○か×か?
回答を見る
複数端末で同じ症状が出ていることは 重要な情報ですが、 それだけで故障箇所は特定できません。
機器表示や障害情報等を確認し、 必要に応じて専門担当へ引き継ぎます。
Q3 お客様から 「2階のスマートフォンだけWi-Fiが遅い」 と相談されました。 最初にどのような情報を確認しますか?
回答を見る
2階のどこで起きるのか、 他の端末でも同じなのか、 ルーターの設置場所、 いつから症状が出ているのかなどを確認します。
すぐに 「回線が遅い」 「ルーターを交換すれば直る」 と判断しません。
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理解度チェック
全3問中2問以上正解で、この研修は完了です。
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